下関市にある住吉神社は、大阪の住吉大社、博多の住吉神社とともに「日本三大住吉」のひとつに数えられる、長門国一宮神社です。

伝統ある住吉神社には、由緒あるお祭りの数々が年中行事として行われています。

今回は住吉神社の由来とともに、年間に行われるお祭りについてご紹介します。


下関住吉神社とは

『日本書紀』の記述によると、住吉神社の創建は、古墳時代の神功皇后の三韓征伐に由来します。

住吉大神のご神託によって神功皇后は朝鮮半島に出兵。
その際、住吉大神が航路を守護してくれたため、無事に朝鮮を平定して戻ってくることができたそうです。

朝鮮からの帰路、ふたたび大神から「長門のこの地に荒魂を祀るように」とのご神託があり、その通りに祠を作ってお祀りしたのが、現在の住吉神社の起源といわれています。

また住吉神社は住吉三神のみでなく、複数の神をお祀りしています。
そのため軍事上での勝神、海上安全、家内安全、五穀豊穣など、ご利益も多岐にわたっています。

つぶた
つぶた
年中行事も、神功皇后にまつわるものが多いんだろうね
なんたん
なんたん
ここからはおもな年中行事をみていきましょう

下関住吉神社・おもな年中行事

和布刈(めかり)祭

和布刈祭は旧歴の元旦に行われる、ワカメを刈り取って神前に供える神事です。
神事は旧正月の日に行われるので、毎年日付は異なります。

約1800年前に神宮皇后がこの地に住吉の大神を祭るにあたり、元旦に壇ノ浦のワカメを刈り取らせ、神前にお供えして人々の幸を祈ったことが始まりといわれています。

なんたん
なんたん
北九州市門司の和布刈神社でも、神功皇后にまつわる神社であることから、同じ旧正月に和布刈神事が行われます
神職が旧正月の夜、干潮の時に松明の灯りを頼りに海に入り、ワカメを刈り取ります。
その後社殿に持ち帰り御祈祷したワカメは、「開運ワカメ」として参拝者に授与されます

境内では梅こんぶ茶が振舞われ、開運わかめうどんも振舞われるとか。
旧正月にはたくさんの参拝客が開運を願って、ワカメを求めて参拝します。

なお、和布刈神社の神事は一般に公開されていますが、住吉神社の神事は一般公開されていません
住吉神社のお祭の中でも、和布刈祭は特殊神事とされています。

住吉神社・お田植祭、お田刈祭

(引用元:写真AC、住吉大社の御田植祭)

住吉神社の「お田植祭」は千数百年もの長い間続いている伝統行事で、毎年5月第3日曜日に開催されます。

神官、巫女、八乙女(神楽や舞で奉仕する人)や早乙女(苗を植える人)、田男らが、本殿祭を行った後、神社近くの神饌田(しんせんでん)に向かいます。
毎年、地元勝山中学校の生徒が奉仕者として参加し、早乙女や八乙女に扮しているそうですよ。

神饌田には神田が設けられてあり、牛による代掻き、人による田ならしのあとに、八乙女、早乙女らが自然の恵み感謝する舞を披露しながら田植えを行います。

このお田植祭は、神宮皇后が神前に供える稲を植えたとされる故事が始まり、といわれています。

現在は下関市の農業祭として、市の農業の振興を願って行われているのだそうですよ。

そして秋にはお田刈祭が行われます。お田刈祭では神職たちが神田の稲を刈り、刈り取った稲の一部を稲座(いねくら)に載せ、神前にお供えして収穫を感謝します。

住吉神社・風鎮祭(ふうちんさい)

風鎮祭は、台風シーズンを前に稲の無事を祈る、昔から受け継がれてきた大切な祭事です。

祭の夜、境内は竹灯籠やちょうちんで照らし出され、盆踊りや出店でにぎわいます。

住吉神社・例大祭(御神幸)

(引用元:City DO、令和6年祭ポスター)

毎年秋分の日に行われる例大祭は、地域をあげての大きなお祭りとして、現代に受け継がれています。

御祭神である住吉大神は大神輿、神功皇后は子ども神輿にお遷りになり、境外社である「打下社」、請負の氏子地区へ御神幸行列を行います。

神事のほか、にぎわい行事として、子供相撲大会や餅まきを実施。

住吉神社・河渡祭(かわたりさい)

毎年12月1日には、「河渡祭」が行われます。

約450年前、石見の国江の川を挟んで毛利氏と尼子氏が対峙しました。
合戦が長引き、毛利の軍勢は疲労困憊。
そこで毛利元就は住吉神社で戦勝祈願をします

そして12月1日、全軍に神酒と田作り、餅粥を振舞い、元気を取り戻した軍勢はその勢いで江の川を渡り、戦いに勝利したのです。
この戦いに由来して行われるようになったのが、河渡祭です。

12月1日にお参りすると運が開けるといわれるようになり、現在では開運を願って早朝6時から大きな釜に餅粥を焚き、参拝者に無料で振舞われています。その他、出店も出ますよ。

住吉神社・御斎祭(おいみさい)

(写真はイメージです)

例年12月8日から14日の7日間、境内にしめ縄を巡らせて一般の参拝者が境内に入れないようにします。
そして神職や巫女は境内にこもります。

御斎祭は、境内の穢れを徹底的に払う物忌みの神事です。

神功皇后が住吉大神の荒魂をここ住吉神社に祀った際に、自らの身を清めて数日間籠ったとされており、そのことに由来しています。

なんたん
なんたん
同じ下関市長府にある、仲哀天皇や神功皇后にまつわる忌宮神社も、住吉神社のように古くから御斎祭が執り行われています
期間中に参拝すると境内に入ることができませんので、お気を付けください。

御斎祭が明けた15日に例祭を行います。

まとめ

今回は下関市にある住吉神社のお祭について、まとめてみました。

お田植祭はよくニュースに取り上げられるので知っていましたが、住吉神社が和布刈に関連があるとは、はじめて知りました。
近くでもまだまだ知らないお祭がたくさんですね。

伝統ある長門一宮住吉神社。
参拝とともに、ぜひお祭にも触れてみてくださいませ。